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現代美術の出発点となったと言われている、マルセル・デュシャンという人がいます。
彼は、現代美術表現の源となるアイデアの多くを提示しました。

「日常的なものがアートになる」
「コンセプトを作品にする」
「偶然の結果を作品に取り込む」
「空間を作品にする」
など、、、

実際に彼が制作した作品の中で、代表的なものに、
レディメイド作品のシリーズがあります。
最も有名なものは、
「既製品の便器に『泉』というタイトルを付けた」作品でしょう。

この作品を出品しようとした際、批判され物議を醸しましたが、
彼は反論し、
「自分の手で作品を作ったかどうかではなく、それを選んだことが重要である。
ありふれた生活用品を新しい観点のもとに、その実用性の意味が消えてしまうように、
展覧会の中に置こうとした。これは新しい思想を創り出している。」
という趣旨を展開し、

『泉』は、コンセプチュアルアートの原点となりました。

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私の作品は、「積み重ねによる表現」だと思っています。

積み重ねた集積でもって、見せたいものを見せる。

ただただこの状態,状況を現実化したい、ということのもとに制作を行います。

ですからコンセプトは特にありません。

こう感じ取って欲しいと誘導するような気持ちもありません。

作品を通して何かを訴えるのではなく、「作品そのもの」をただ見て欲しい。

そして、日常では体験できない感覚を覚醒してほしい。

見る人の心が高揚するようなものであればと、それだけを思います。



そのような私の作風は、デュシャンの作品とは真逆と言えると思いますが、
だからこそ、とても意識をします。

デュシャンに触れることが、
「自分がやっていることは何か」ということを考えさせる起因となります。


デュシャンのレディメイド作品に最初に触れた時、
私は、まるで見る者をからかっているかの様に思いましたが、
今は、
違和感を持たれることや批判されることに果敢に立ち向かい、自分を信じて提示し続けた、奇跡的な功績と思っています。





















by satori--nu | 2018-04-05 10:32 | 作品 | Comments(0)