2018年 04月 05日
memo10
現代美術の出発点となったと言われている、マルセル・デュシャンという人がいます。
彼は、現代美術表現の源となるアイデアの多くを提示しました。
「日常的なものがアートになる」
「コンセプトを作品にする」
「偶然の結果を作品に取り込む」
「空間を作品にする」
など、、、
実際に彼が制作した作品の中で、代表的なものに、
レディメイド作品のシリーズがあります。
最も有名なものは、
「既製品の便器に『泉』というタイトルを付けた」作品でしょう。
この作品を出品しようとした際、批判され物議を醸しましたが、
彼は反論し、
「自分の手で作品を作ったかどうかではなく、それを選んだことが重要である。
ありふれた生活用品を新しい観点のもとに、その実用性の意味が消えてしまうように、
展覧会の中に置こうとした。これは新しい思想を創り出している。」
という趣旨を展開し、
『泉』は、コンセプチュアルアートの原点となりました。
こう感じ取って欲しいと誘導するような気持ちもありません。
作品を通して何かを訴えるのではなく、「作品そのもの」をただ見て欲しい。
そして、日常では体験できない感覚を覚醒してほしい。
見る人の心が高揚するようなものであればと、それだけを思います。
そのような私の作風は、デュシャンの作品とは真逆と言えると思いますが、
だからこそ、とても意識をします。
デュシャンに触れることが、
「自分がやっていることは何か」ということを考えさせる起因となります。
デュシャンのレディメイド作品に最初に触れた時、
私は、まるで見る者をからかっているかの様に思いましたが、
今は、
違和感を持たれることや批判されることに果敢に立ち向かい、自分を信じて提示し続けた、奇跡的な功績と思っています。
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by satori--nu
| 2018-04-05 10:32
| 作品
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